トップページ > 製品情報 > 走査型近接場光学顕微分光システム NFSシリーズ
問い合わせ・カタログ請求


走査型近接場光学顕微分光システム
Scanning Near-field Optical Microspectrometer

平素より皆様にご好評を頂いております「近接場光学顕微分光システム」が、この度「第30回井上春成賞」受賞の栄誉に輝きました。
本賞は、科学技術振興機構の前身の1つである新技術開発事業団の初代理事長であり、旧工業技術庁(現産業技術総合研究所)初代長官であった化学者・井上春成氏が、わが国科学技術の発展に貢献された業績に鑑み、1970年に設立された賞です。大学、研究機関等の独創的な研究成果をもとに、企業が開発、企業化した技術であって、科学技術の発展に寄与し、経済の発展、福祉の向上に貢献したものの中から特に優れた技術について研究者および企業が表彰されます。今回は、研究者として東京大学大津元一教授、企業として日本分光株式会社が表彰されました。
日本分光は今後も斬新なアイデアと革新的なコンセプトのもとお客様に最先端の分析機器を提供してまいります。

贈呈式(2005年7月13日 於:経団連会館)
井上春成賞ゴールドメダル

日本分光は、分光測定ができる走査型近接場光学顕微鏡 NFSシリーズを世界に先駆けて完成させました。 この装置は数十〜百nm程度の空間分解能で顕微分光測定を行うことができます。微小領域でスペクトル強度変化や ピークシフトの観測を行うことができるため、より高度なキャラクタリゼーションが可能です。


詳しい技術情報(英語)はこちらのページを参照してください。

特徴

●世界で初めてのオールインワンタイプの走査型近接場光学分光顕微鏡です。
●数十〜百nmの高空間分解能で顕微分光測定が行えます。
●日本分光製のプローブを使用することで特定の大きさの近接場光を確実に利用できます。
●試料表面の微小な凹凸形状を同時測定しています。原子間力顕微鏡(AFM)と類似した使い方が可能です。
●イルミネーション(透過)、コレクション、イルミネーション−コレクション各測定モードに対応しています。



近接場光学顕微分光システム
 微小領域におけるキャラクタリゼーションの方法として、電子線を用いた電子顕微鏡による形 態観察、X線マイクロアナライザによる元素分析、走査型プローブ顕微鏡による表面形状観察が あります。これらの分析方法は、高い空間分解能の像が得られますが、試料表面の化学情報を 得ることができません。一方、顕微FT/IR分光、顕微フォトルミネッセンス分光、顕微ラマン分 光などにより表面の化学情報が得られますが、空間分解能に限度があるため、得られる情報は ミクロンスケールにとどまっていました。光は回折限界により、使用する波長程度までしか絞 れないためです。
 この回折限界を越えた極微小領域でのキャラクタリゼーションを可能にしたのが走査型近接場 顕微鏡です。数十〜百nm程度の開口を持つファイバープローブに光を導入すると、先端付近に 開口と同程度の大きさを持つ近接場光が発生します。近接場光の近傍に試料を近づけることで、 試料表面との相互作用の結果を数十〜百nmの大きさで観測することができます。 従来の近接場光学顕微鏡は、試料から反射、散乱した光を分光することなく観測していますが、 NFSシリーズは分光できる走査型近接場光学顕微鏡として世界で初めての商品です。
プローブ先端に発生した近接場光と試料表面が相互作用することにより発生した散乱光を分光検出します

新開発のプローブ作製技術
 NFSシリーズでは、光ファイバーの先端を先鋭化した、大きさが数十〜百nm程度の開口を持つプローブを、 近接場光発生あるいは、試料から近接場光集光のために用いています。日本分光は開口作製技術を神奈川科学技術 アカデミー(KAST)の研究成果をもとに開発し、特定サイズの開口を持つプローブを再現性良く製作できるように なりました。開口サイズは電子顕微鏡による高度の品質管理が行われています。
プローブの先端および開口部を除いた部分を金属コートすることで、光が外部に漏れることを防いでいます


走査型近接場光学顕微分光システムを用いたナノスケールキャラクタリゼーション例
NFSシリーズにより、近接場顕微分光スペクトルを解析し、微小領域表面の化学情報を得ることができます。

調べる
 液相成長したGaAsPの表面組成分布
電子デバイスでは、ナノスケールにおける組成比の乱れが電気特性に大きな影響を与えるので、ナノスケールキャラクタ リゼーションが重要になります。例えばGaAsP試料のGaAsとGaPの組成比は、試料表面からの発光スペクトルのピーク位置 として現れます。したがって従来の分光しない近接場顕微鏡では組成比の情報は得られません。 しかし、NFSシリーズ であれば、各々の場所での発光スペクトルから、微小なピークシフトを観測することができます。図−1は試料表面の凸凹像で す。6μm×6μmの領域を測定しています。図−2は発光のピークシフト分布を示したものです。緑の部分がピークが長波長に シフトした領域を示しており、GaP濃度が周囲よりわずかに高くなっていることがわかります。

観測する
 ポリジアセチレン(PDA)結晶中のC=C共役鎖の分布
非線型光学材料として知られているPDAは、C=C結合やC≡C結合の炭素共役鎖の長さにより光学特性が異なるため、共役鎖についてのキャラクタリゼーションが 重要になります。PDAではC=C結合とC≡C結合が強い共鳴ラマン効果を示し、共役鎖の長さによってラマンスペクトルに現れるピークの波数が異なることが知 られています。したがって、ラマンスペクトルを測定することで共役鎖の長さを調べることができます。

図−3に100nm間隔で1μm四方を観測したPDAの表面形状分布を示します。
従来の顕微ラマンスペクトル(a)には1520cm-1のピークは観測されません。これは、観測領域がφ1μm であるため、平均化されてしまっているものと考えられます。一方、近接場顕微ラマンスペクトル(b,c)から共役鎖 が短い(10個程度)PDAが極微小部に存在することが推定できます。

図−4(右)に100nm間隔で測定したPDAの1520cm-1と1457cm-1のラマンピーク強度比(I1520/I1457) を示します。この強度比は長さが異なる共役鎖の存在比を表しています。PDAの結晶表面はナノスケールで見ると長さが異なる共役鎖を もつ結晶が複雑に分布していることがわかります。


●システムダイアグラム

●励起波長は532nm(グリーンレーザー)ですが、オプションで他のレーザー光源も対応します(最大2台の設置が可能)。
●イルミネーション−コレクション、コレクション、イルミネーション(透過)、各測定モードにあわせて光路を自動変更できます。


●仕様
測定モードイルミネーション−コレクション、コレクション、イルミネーション(透過)
励起源グリーンレーザー(532nm)、オプション632.8nm等
空間分解能100nm以下
光透過率0.1%以上
ステージ範囲横×縦:20μm×20μm(室温)/5μm×5μm(5K)
高さ:8μm(室温)/2μm(5K)
システム処理フィードバック/オプション入力モニタ、アプローチコントロール、自動アプローチ、プローブ共鳴振動測定
マッピング処理表面形状マッピング、スペクトルマッピング、オプション入力マッピング(最大2チャンネル)



近接場フォトルミネッセンス,顕微フォトルミネッセンス,フォトルミネッセンス