クマリン測定は、分光蛍光光度計 FP-8050 シリーズに特別付属品のクマリン測定ユニットを取り付けて行います。クマリン測定ユニットは、試験管を使用して、試料の軽油識別剤(クマリン)を測定するための付属品です。
クマリンの定量測定は、「社団法人 全国石油協会 軽油識別剤標準分析方法マニュアル」石油学会規格「石油製品-クマリンの求め方(JPI-5S-71-21)」に基づいて行います。
クマリン定量測定プログラムは上記規格の A 法に対応しています。試料異性化の時間変化測定・スペクトル測定・検量線作成・定量測定が、画面を切り替えることなく行えます。
クマリンはアルカリ溶液中で加水分解されシス-O-ヒドロキシケイヒ酸となります。さらにこれに紫外線を照射すると異性化してトランス-O-ヒドロキシケイヒ酸に変わります。このトランス-O-ヒドロキシケイヒ酸は緑色の蛍光(Ex:360 nm、Em:500 nm)を発します。本定量法では、この蛍光を検出します。
試験液を入れた試験管を振とうすることで、試験液中のクマリンが加水分解されアルカリ溶液中に抽出されます。抽出されたアルカリ層に分光蛍光光度計の励起光(360 nm)を照射することで光異性化反応を行い、500 nmの蛍光強度を検出、クマリンの混入率を定量します。
通常のクマリン定量では数%以上の周辺油の混入を定量的に分析することを目的としますが、分析内容によっては 1 % 以下まで定量的に取り扱いたい場合もあります。
クマリン分析システムの励起・蛍光側にフィルターをセットし、散乱光による影響を減少させることで、検出限界および定量下限を大幅に向上させたシステムを構築することができます。
HPLCを使ったクマリン測定も石油学会規格「石油製品-クマリンの求め方, JPI-5S-71-21」で規定されています。HPLCでの測定は、試料の前処理がなく簡便かつ短時間で試験できることが特長です。ただし、試験結果に疑義が生じた場合は蛍光光度法によって試験しなければならないとされています。日本分光では、HPLC法と蛍光光度法の両方の分析システムをご用意しています。