タンパク質の構造と安定性を評価することは、バイオ医薬品をはじめとしたタンパク質の産業利用において極めて重要です。遠紫外領域のCDスペクトルは、タンパク質の二次構造を反映してその形状を変化させます。そのため、遠紫外領域のCDスペクトル測定はタンパク質の構造と安定性の評価に多く利用されています。一般に遠紫外領域は緩衝液に由来する光吸収が強く、遠紫外領域でのCDスペクトル測定では①緩衝液の濃度を低く抑える、②短光路のセルを使用する、といった工夫が必要になります。このような測定に対応できるようPTC-510水冷ペルチェセルホルダは従来の角型セルに加えて短光路の円筒型セルも使用可能となっています。これにより緩衝液中のタンパク質のCDスペクトルがこれまでよりさらに短波長域まで測定可能になりました。
ここではBovine IgG/リン酸緩衝液のCDスペクトルを、短光路の円筒型セルを用いて20℃から95℃まで温度インターバルスキャン測定プログラムで測定した例を紹介します。