特定の抗原を標的にすることができる抗体医薬品は、近年ますます注目を集めています。抗体医薬品は、溶媒、pH、温度などの製剤条件や保存環境によって、構造が変化するため、その活性を失う可能性があり、品質を確保するためには、製剤条件や保存環境の違いによる構造の安定性を評価することが不可欠です。
円二色性分散計 (CD) は、均質な条件下で簡便にタンパク質の構造を評価できるため、抗体を含む生体高分子の構造安定性評価に有効です。
ここでは、ハイスループット CD (HTCD) システムを用いて、様々なpH および塩濃度条件下における VHH 抗体のCD スペクトルをスクリーニング測定し、[qHOS] プログラムによって数値化した解析結果から、基準となる溶媒条件下における VHH 抗体の CD スペクトルからの変化量を可視化した例を紹介します。さらに、熱変性測定を行い、各条件におけるスペクトル変化量と変性温度の関係も紹介します。