技術情報 アプリケーション Application Data 200-CD-0038
CD Application Data

CD/Abs 同時測定による抗体医薬品の高次構造評価の効率化

Introduction

円二色性 (CD) 分光法は低濃度かつ簡便に抗体の高次構造 (HOS) 情報を取得できる手法として知られており、ICH Q5E で規定されている製造工程変更前後や、FDA や EMA など世界各国のガイダンスに記載されているイノベーターとバイオシミラーの HOS の比較、ロット検査などにおいて二次構造組成比や HOS の同一性を評価する目的で広く利用されています。

抗体を含むタンパク質の二次構造を精度良く推定するためには、CD スペクトルの縦軸を正確な濃度を用いて平均残基モル楕円率 (mean residue ellipticity) や delta epsilon に変換する必要があります。また、HOS の同一性評価においては、二次・三次構造の情報を反映する CD スペクトル変化の有無を高感度に検出するために、試料調製に起因する濃度誤差の影響を除去する必要があります。従来、これらの目的で利用される濃度は、紫外可視分光光度計もしくは円二色性分散計の吸光度測定機能を用いて取得されてきました。紫外可視分光光度計は吸光度測定正確さが優れている一方で、多検体の試料の取り扱いが必要な現場では、作業の煩雑さが課題となっていました。ここでは、正確に CD および吸収スペクトルを同時に測定できる円二色性分散計 J-1500 を用い、効率的かつ高精度に抗体の二次構造解析および HOSの同一性評価を行った結果を報告します。

Keywords
抗体医薬品、高次構造、HOS、二次構造、三次構造、バイオシミラー、ハーセプチン、トラスツズマブ、円二色性分散計
アプリケーションデータ番号
200-CD-0038
発行
2021年
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