技術情報 アプリケーション Application Data 200-CD-0039
CD Application Data

円二色性分散計を用いた高濃度抗体の二次構造解析

Introduction

近年、抗体医薬品の開発・製造・上市が盛んに行われています。抗体医薬品は、抗体と同様に目的細胞に発現した抗原のみを標的とする高い特異性を示すことから、悪性腫瘍やアンメット・メディカル・ニーズに対する治療薬として期待されています。

円二色性 (CD) 分光法は簡便に抗体の高次構造 (HOS)の情報を取得できる手法として知られています。そのため、ICH Q5E で規定されている製造工程変更前後での HOS の同等性/同質性評価、FDA や EMA など世界各国のガイダンスに記載されているイノベーターとバイオシミラーの HOS の比較、二次構造組成比を評価する目的で広く利用されています。

抗体医薬品は、粉末または溶液状態で輸送・保管され、溶液状態で注射により投与されますが、抗体医薬品の多くが 10 mg/mL 以上と、非常に高い濃度で処方されます。抗体を構成するタンパク質は高濃度状態では、希薄状態とは異なる振る舞いを示すことが知られているため、実際に処方される高濃度状態での物性評価が求められます。ここでは、正確な CD/吸光度の同時測定ができる円二色性分散計と、光路長 0.01 mm の貼り合わせセルを用いて、5.8~23.1 mg/mL のウサギ血清由来 IgG 溶液の遠紫外波長領域における CD スペクトルおよび吸収スペクトルを測定し、二次構造解析を行った結果を報告します。

Keywords
抗体医薬品、高次構造、HOS、二次構造、バイオシミラー、円二色性分散計
アプリケーションデータ番号
200-CD-0039
発行
2021年
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