タンパク質の CD スペクトルの変化は、タンパク質の構造変化を敏感に反映しています。ペプチド結合に由来する吸収は 240nm よりも短波長領域に見られるため、この波長領域の CD スペクトルを測定することにより、タンパク質の二次構造に関する知見が得られます。それに対し、芳香族アミノ酸などの側鎖に由来する吸収は 210-220nm にも存在しますが、ペプチド結合の吸収帯と重ならない 240nm より長波長領域にも存在します。そのため、側鎖に関する研究は、ペプチド結合の吸収と重ならない 240nm より長波長領域の CD スペクトルを測定することにより行われています。
ここでは、リゾチームとその阻害剤である N-アセチル-D(+)-グルコサミン(NAG)の相互作用について円二色性分散計を用いた測定例を紹介致します。