キラルな化合物を光励起すると、放出される蛍光の左右円偏光成分の強度に差が生じます。この現象は円偏光ルミネッセンス(Circularly Polarized Luminescence:CPL)と呼ばれています。CPLの主な測定対象としては、蛍光性のキラルな有機化合物やランタノイドのキラルな錯体などが挙げられますが、Green Fluorescent Protein(GFP)などの蛍光性の生体高分子もCPLの測定対象となります。
GFPはオワンクラゲ(Aequorea victoria)から単離された蛍光性タンパク質ですが、そのCPLスペクトルが報告されており、生きたクラゲが円偏光を放出している可能性も示唆されています。またシャコは円偏光を感知することができ、そのシステムの解明が期待されています。円偏光が生物の個体間のコミュニケーションに何らかの役割を果たしているかは現在のところ明らかになっていませんが、円偏光発光に関する研究が進むことにより明らかになる可能性があります。
ここでは、蛍光性タンパク質であるGFPのCPLスペクトルをCPL-300円偏光ルミネッセンス測定システムで測定した例を紹介します。