近年、河川、湖などの環境水を、3D蛍光データを用いて蛍光性溶存有機物(CDOM)やその他の蛍光性物質の成分解析を行い、環境水やCDOMの起源推定、気候や天候の変動による成分変化のモニターなどが行われています。
このような環境水中には、フミン酸、フルボ酸、タンパク質、アミノ酸、クロロフィル、合成化合物など多様な蛍光物質が含まれているため、得られる3D蛍光データには各成分の蛍光ピークが重なっており、一般的には成分分析を行うことは困難です。そのため、多変量解析の一種であるPARAFAC(Parallel Factor Analysis)を用い、多成分の重なり合った蛍光ピークを、各成分の3D蛍光データに分離し、成分推定と定量が行われています。
ここでは、PARAFACを用いた環境水中の成分解析の基本的な測定の流れ、および測定・解析例として、トリプトファン、フミン酸、葉酸を複数の混合比で混合したモデル試料を用意し、そのモデル試料の3D蛍光測定およびPARAFACによる成分と成分比を求めた結果を紹介します。