CNT (カーボンナノチューブ) は、鋼鉄の 20 倍の強度、アルミニウムの約半分の軽さ、柔軟性、導電性、熱伝導性、耐熱性を持つという類まれな特性のため、燃料電池や光学機器、熱交換器、構造材料などへの応用が期待されています。また CNT のうち特に単層のもの (SWCNT) については、上記の CNT の一般的な性質の他、カイラリティー (螺旋度) の違いによって直径や電子状態が異なり、結果としてそれぞれ異なる導電性や光学応答性を持ちます。そのため、用途によってはカイラリティーの違いまで含めた CNT の分離・精製が必要になります。分光学的な測定は、試料中の CNT のカイラリティーの評価が可能で、さらに精製具合の評価等への展開も見込めることから、CNT の分析において極めて重要となります。
ここでは、紫外可視近赤外分光光度計と近赤外領域まで測定可能な分光蛍光光度計を用いて、市販の SWCNT のカイラリティーを評価した例を紹介します。