技術情報 アプリケーション Application Data 100-AT-0227B
FTIR Application Data

偏光ATRを用いた延伸フィルムおよび液晶分子の測定

Introduction

近年、液晶や高分子の分野において分子配向を制御・解析するニーズは高まってきています。分子配向の解析には、複屈折を利用する方法や固体の結晶化度などの情報が得られるX線回折法、分子振動に関する情報が得られる赤外分光法が一般的に用いられています。赤外分光法では、光路上に偏光子を導入した偏光測定による配向評価を行います。今回開発した偏光型1回反射ATRは、赤外分光法の中で表面分析手法であるATR法で偏光測定が行え、1~2µm程度の試料表面の分子配向を特異的に解析することができます。これにより、試料の厚みや材質を問わず試料表面の分子配向を解析できます。

分子配向解析の例として、延伸フィルムの面内の延伸方向(MD)と垂直方向(TD)、深さ方向(OP)の分子配向を解析する方法を紹介します。フィルムの延伸方向を光の進行方向に合わせて設置し、試料に対する垂直偏光(s偏光)を照射すると、y方向つまり垂直方向に関する配向情報がわかります。平行偏光(p偏光)を照射すると、x方向つまり延伸方向に関する配向情報およびz方向つまり深さ方向の配向情報が得られます。続いて、試料を90度回転させ、垂直偏光(s偏光)を照射すると、延伸方向に関する配向情報がわかります。平行偏光(p偏光)を照射すると、垂直方向および深さ方向に関する配向情報が得られます。得られた情報を計算することで、MD・TD・OPすべての分子配向情報がわかります。すなわち、試料の向きおよび偏光子の角度を変えることで、試料の配向を3次元的に解析できます。

Keywords
偏光測定、配向、PPフィルム、TN液晶
アプリケーションデータ番号
100-AT-0227B
発行
2011年
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