技術情報 アプリケーション Application Data 260-TR-0228
FTIR Application Data

広帯域KBrビームスプリッタ(B/S)による赤外・近赤外・FTラマン測定

Introduction

赤外(中赤外)、近赤外およびラマン分光法は、高分子、食品、医薬品、半導体材料などの定性や定量分析に広く利用されていますが、これら3つの測定法をうまく組み合わせることで試料の基礎物性に関する情報を得ることができます。例えば、赤外と近赤外を組み合わせることで、分子の解離エネルギー値(De)や赤外・近赤外領域の吸光係数(α)、光学定数(n, k)などを求めることができ、これらの値は化学反応の予測や各種デバイスの設計に重要な知見を与えます。また赤外とラマンを組み合わせることで相補的な分子振動の情報、ラマンの特長である低波数側の測定を利用した格子振動に関する情報、更には重い原子が結合した分子振動に関わる情報を得ることもできます。FTIRは、光源、検出器、B/Sを交換することで赤外、近赤外、遠赤外スペクトルの測定ができますが、FTラマンシステムを用いればラマンスペクトルの測定も可能となります。一般的なFTIRに用いられるB/Sは測定可能領域が7800~375cm−1と赤外領域に特化していますが、新たに開発をした広帯域KBr B/Sは12000~375cm−1の領域が測定でき、結果としてB/Sの交換なく赤外、近赤外、ラマンの測定ができます。ここではこの広帯域KBr B/Sを利用しクロロホルムをモデルサンプルとして、赤外、近赤外、ラマンスペクトルを測定し、クロロホルムの基礎物性に関する知見が得られましたので報告します。

Keywords
ラマン分光法、ラマンスペクトル、赤外スペクトル、振動分光学
アプリケーションデータ番号
260-TR-0228
発行
2011年