ポリアミド合成繊維の一種であるナイロンの分析は、常温ではヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶媒に溶解させて分析します。しかし、HFIPは非常に高価な溶媒であるため、この使用量が増加すると、コストが嵩み、更に、環境負荷の増大にも繋がり、重要な問題となってきます。
一方、セミミクロスケールの分析は、移動相の使用量を削減できるという利点があります。最近では、分析時間の短縮や使用溶媒量の削減のため、GPC分析用カラムに、充塡剤粒子径やカラム容量の小さい迅速分析用あるいは高性能分析用のものが市販されています。
今回は、セミミクロスケールに対応した示差屈折率検出器(RI-4035)を使用して、高性能分析用GPCカラムを用いたナイロン6のフィルムと繊維の分析を行いました。このときの溶媒使用量は、1分析当たり8mLとなり、通常の分析と比べ4分の1程度に削減できました。データ解析には、ChromNAVの分子量分布計算プログラム(オプション)を使用し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準試料として分子量校正曲線を作成し、平均分子量を計算した結果も併せて報告します。