技術情報 アプリケーション Application Data 420010H
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ヌクレオチドの分析による魚類の鮮度 (K値) 試験

Introduction

魚肉中の ATP(アデノシン5’-3リン酸) は、死後、時間経過とともに下記の様に分解していきます。

ATP → ADP(アデノシン5’-2リン酸) → AMP(アデノシン5’-1リン酸) → IMP(イノシン5’-1リン酸) → HxR(イノシン) → Hx(ヒポキサンチン)

これら ATP 関連物質を分析し、下記に示す式に代入する事で、魚肉の鮮度を示す値である K 値を算出する事ができます。

K 値 [%] = (HxR + Hx [µmol/g]) / (ATP + ADP + AMP +IMP + HxR + Hx [µmol/g]) × 100

この K 値は、ATP とその分解生成物全量に対する HxR と Hx 量の百分率であり、値が小さいほど鮮度が良いことを示しています。一般的に刺身用として適当とされる K 値は 20 % 以下と言われています。また 20 ~ 60 % では煮る・焼く等の調理用として使用する事が可能であり、60 % 以上では腐敗した状態に近づいていると言われています。

今回、日本農林規格(JAS 0023, 2022年3月31日制定)に記載されている手法に則り、マグロ刺身及びタイ刺身中 ATP 関連物質の含有量を HPLC にて測定し、その含有量から K 値を算出しましたので報告します。なお本測定には、同規格の「附属書 C (参考) 典型的な HPLC クロマトグラム」で用いられている、アダマンチル基を使用したカラムである CAPCELLPAKADME-HR(大阪ソーダ社製)* を使用しました。
* CAPCELLPAK はサンヨーファイン医理化テクノロジー社の登録商標です。

Keywords
ヌクレオチド、ATP関連物質、K 値、鮮度試験、日本農林規格、アダマンチル基
アプリケーションデータ番号
420010H
発行
2024年
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