尿中の有機溶剤代謝物の測定は、人体に有害な有機溶剤暴露量の評価方法として、HPLCが用いられています。この測定は、大量の検体数の尿を測定するため、多くの時間と移動相溶媒を費やして行われています。
近年、高速分離分析法として、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)が注目されています。この方法は、2µm以下の超微粒子充塡カラムを用いて、高線流速でも高い分離効率を維持したまま、高速分離ができることを特長としており、従来の5µm充塡剤を用いたHPLCと比較して、分析時間を1/5~1/10に短時間化できると同時に、移動相溶媒の使用量を1/10近く削減できるといった効果が期待できます。これに対して、ラピッドセパレーションHPLC(RHPLC)は、コンベンショナルHPLCから一部のUHPLCまでをカバーする高速分析のことで、これからのスタンダードとなる分析手法です。
ここでは、RHPLCシステムを使用し、トルエン、キシレン、スチレンなどの有機溶剤の尿中代謝物である馬尿酸、メチル馬尿酸(MHA)、マンデル酸の各成分について、標準試料を測定した結果を報告します。