技術情報 アプリケーション Application Data 747013H
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日本薬局方に基づいた低分子量ヘパリンの分子量測定

Introduction

ヘパリンは豚の小腸粘膜から精製されるムコ多糖類で、抗凝固薬の一つとして血栓塞栓症の治療および予防、播種性血管内血液凝固症の治療、血液透析・人工心肺その他の体外循環装置使用時の血液凝固防止など多岐にわたり用いられています。このヘパリンを酵素あるいは化学処理により低分子量化させた低分子量ヘパリンは、同じく抗凝固薬として用いられ、出血副作用が少ないとされています。低分子量ヘパリンは、ヘパリンの分解方法や分子量分布により、パルナパリン、ダルテパリン、エノキサパリンなどに分類され、一般的にはナトリウム塩として用いられています。

第十六改正日本薬局方(JP)では、低分子量ヘパリンの一つであるパルナパリンナトリウムについてのみ、医薬品各条で分子量測定法、質量平均分子量および分子量分布が定められています。測定法には、紫外可視吸光度検出器(UV検出器)および示差屈折率検出器(RI検出器)を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)が収載されています。本試験法では、分子量測定用低分子量ヘパリンを標準試料として分子量の検量線を作成します。一般的なSECによる分子量測定では、ピークトップ分子量が既知のオリゴマーやポリマーなどの標準試料を用いて、保持容量と分子量の関係から校正曲線を作成します。しかし、パルナパリンナトリウムの測定では、RIとUVの強度比や標準化係数と呼ばれる値を用いて分子量を算出し、検量線を作成する複雑な解析法であるため、市販されているSEC用のソフトウェアでは解析が行えません。

今回は、日本薬局法に基づいてパルナパリンナトリウムの分子量測定を行い、新規に開発したChromNAV Ver.2のオプションプログラムである低分子量ヘパリン分子量計算プログラムを用いて解析を行い、質量平均分子量および分子量分布を計算した結果を報告します。

Keywords
低分子量ヘパリン, パルナパリンナトリウム, ダルテパリンナトリウム, 日本薬局方, 分子量測定, UV検出器, RI検出器
アプリケーションデータ番号
747013H
発行
2015年