技術情報 アプリケーション Application Data 747015H
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日本薬局方に基づいたヘパリンナトリウムの確認試験および純度試験(類縁物質)

Introduction

ヘパリンは豚の小腸粘膜から精製されるムコ多糖類で、抗凝固薬の一つとして血栓塞栓症の治療および予防、播種性血管内血液凝固症の治療、血液透析・人工心肺その他の体外循環装置使用時の血液凝固防止など多岐にわたり用いられています。2007年から2008年にかけて、主に米国において、ヘパリンナトリウムを投与された患者に死亡例を含む深刻な有害事象が発生しました。2008年3月、米国食品医薬品局(FDA)は、問題となったヘパリンにはヘパリン様物質が混入されていることを発表し、後にこの物質は、高度に硫酸エステル化された非天然型のコンドロイチン硫酸エステル(過硫酸化コンドロイチン硫酸)であることが明らかにされました。

これを受けて、2008年7月に第十五改正日本薬局方が一部改正され、医薬品各条ヘパリンナトリウムに純度試験(5)過硫酸化コンドロイチン硫酸が追加されました(1H-NMRによる試験) 。さらに、2010年7月に改正され、医薬品各条ヘパリンナトリウムに確認試験、純度試験(6)類縁物質および(7)ガラクトサミンが追加されました。確認試験および純度試験 - 類縁物質では、弱陰イオン交換カラムを用いたHPLC分析によりヘパリンナトリウム、過硫酸化コンドロイチン硫酸、およびデルマタン硫酸エステルを分離する方法が収載されています(天然に存在するコンドロイチン硫酸エステル(A, B, C, D, E, HおよびK)の中で、コンドロイチン硫酸エステルBは、デルマタン硫酸エステルとも呼ばれ、豚の皮膚に存在することからヘパリンに不純物として混入していることが古くから知られています)。

そこで今回は、第十六改正日本薬局方の医薬品各条ヘパリンナトリウムにおける確認試験および純度試験(6)類縁物質に準拠して測定を行った結果を報告します。

Keywords
ヘパリンナトリウム、過硫酸化コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸エステル, 日本薬局方、類縁物質、UV検出器
アプリケーションデータ番号
747015H
発行
2016年
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