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抗体医薬品の強制分解試験におけるSECによる凝集体と分解物のモニタリング

Introduction

1986年に最初のモノクローナル抗体がアメリカ食品医薬品局(FDA:U.S. Food and Drug Administration)に承認されてから、抗体医薬品の市場は急激に拡大し、これまでの約 25 年の間で様々な疾患の治療法として主流になってきています。医薬品分子の安定性は、医薬品の安全性と有効性に影響するために非常に重要ですが、抗体医薬品のような高次構造を持つ製品では、分子構造および生物活性の維持は、分子の共有結合だけでなく非共有結合にも依存し、様々な環境要因の影響を受けます。

FDAや医薬品規制調和国際会議(ICH:International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)のガイドラインでは、様々な環境下で原薬と医薬品の品質が時間経過とともにどのように変化するかを理解するために、安定性試験データの必要性が述べられています。そのため、抗体医薬品の研究開発の初期から販売承認後までの各段階において、医薬品を意図的に劣化・分解させる強制分解試験(FDS:Forced Degradation Study)が実施されています。FDS は、原薬や製剤の分解経路や分解生成物の構造を明らかにし、安定性を保証する方法を確立するために有効な手法となり、製造プロセスの開発、保管条件や容器の選択に役立てられています。FDS の一般的な試験条件としては、熱、凍結融解、攪拌、pH、光照射、酸化、還元、糖化などがあります。これらの多くの条件下で生じる分解経路の一つが免疫原生に深く関係する凝集体であるため、単量体および多量体を含む凝集体を良好に分離・検出できるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)が分析法とし利用されています。

今回は、非ホジキンリンパ腫の治療薬である MabThera®(リツキシマブ)に対して、各種強制分解試験を行い、未処理および各処理を施した MabThera® を SEC により測定し、単量体、多量体を含む凝集体、分解物の量の変化について比較したので報告します。

Keywords
バイオ医薬品、抗体医薬品、FDS、凝集体、分解物、MabThera®、TSKgel G3000SWXL、SEC、UV 検出器
アプリケーションデータ番号
747022G
発行
2022年
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