技術情報 アプリケーション Application Data 820037H2
LC Application Data

C8カラムを用いた陰イオン界面活性剤の分析

Introduction

陰イオン界面活性剤は合成洗剤の有効成分で、工場排水、生活排水などからの混入に由来する汚濁の指標となるため、水道法の水質基準項目の一つになっています。測定法としては、蛍光検出器を用いた HPLC 法が採用されています(平成 15 年厚生労働省告示第 261 号、別表第 24)。この測定法では、アルキル鎖の炭素数が 10 から 14 であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (ABS) が測定対象となり、基準値は 5 成分の和で 0.2 mg/L となっています。また、水質検査の実施に当たっては、基準値の 1/10 の濃度まで測定し、この濃度での測定精度を 20 % 以下に確保することが定められています。

一般的な C18 カラム(修飾基 : オクタデシル基)では、炭素鎖の分岐状態を認識するため、同じ炭素数の ABS でも分岐状態の違いにより分離され、複数のピークが溶出します。今回は、分岐状態を認識せず、炭素鎖の炭素数ごとに 1 本のピークとして溶出する C8 カラム(修飾基 : オクチル基)を用いて、陰イオン界面活性剤を分離し、蛍光検出器による高感度分析を行ったので報告します。

なお、陰イオン界面活性剤の分析では、同じく水質基準項目の一つになっている非イオン界面活性剤の分析(別表第 28 の 2)と、測定装置、実験器具、実験部屋などを共有することで、非イオン界面活性剤分析のサンプル前処理に使用するトルエンが妨害ピークとして検出される場合があります。本アプリケーションでは、測定対象の陰イオン界面活性剤の各ピークと、トルエン由来のピークを分離して検出することが可能です。

Keywords
陰イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水質基準、C8 カラム、蛍光検出器
アプリケーションデータ番号
820037H
発行
2022年
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