技術情報 アプリケーション Application Data 820038H
LC Application Data

LC/MS/MSによる水道水中のPFAS(PFOA、PFOSおよびPFHxS)の分析

Introduction

PFAS(Per-and polyfluoroalkyl substances: ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、フッ素系化合物の総称で、該当する物質の数は 10,000 を超えると言われています。PFAS は、化学的に極めて安定性が高く、水溶性かつ不揮発性の物質であるため、環境中に放出された場合には、水系に移行しやすく、難分解性のため長期的に環境に残留します。環境に蓄積した PFAS が、飲料水や食品を介してヒトの生体内に蓄積すると、重大な健康被害の可能性があると考えられています。

PFAS の中でも PFOA(Perfluorooctanoic acid:ペルフルオロオクタン酸)、および PFOS(Perfluorooctanesulfonic acid: ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、耐火性、耐水性、耐脂性に優れるため、従来より多種多様な産業および商業製品に利用されてきました。しかし、2009年から POPs 条約(残留性有機化合物質に関するストックホルム条約)や、化審法(化学物質の審査及び製造などの規制に関する法律)により段階的に規制され、製造および製品への使用が禁止されるようになりました。

水道法(以下、公定法)においては、2020年3月の改正で PFOA および PFOS が水質管理目標設定項目に追加され、2021年3月の改正で、PFHxS(Perfluorohexanesulfonic acid:ペルフルオロヘキサンスルホン酸)が追加成分として新たに設定されました。これら3成分の測定法としては、固相抽出-液体クロマトグラフ-質量分析法が採用されています。3成分の目標値は、PFOA、PFHxS、および PFOS の量の和として 0.00005 mg/L(50 ng/L)以下とされ、定量下限値は目標値の 10分の1 の 0.000005 mg/L(5 ng/L)、併行精度は 20 % 以下となっています。

今回は、コンタミネーションの原因となるフッ素系樹脂部材を接液部に使用していない専用LCシステムに、検出器として SCIEX 社製トリプル四重極質量分析計(Triple QuadTM 3500)を接続し、LC/MS/MS により水道水中の PFOA、PFHxS、および PFOS を公定法に準拠して測定し、固相抽出による添加回収試験も行いましたので報告します。

Keywords
PFAS、PFOA、PFHxS、PFOS、水道水、水質管理目標設定項目、トリプル四重極質量分析計、LC/MS/MS
アプリケーションデータ番号
820038H
発行
2023年
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