食品のおいしさにおいて、食感は重要な要素のひとつと言えます。食感は、含有成分の量やその存在状況によって左右されます。中でも口に入れた瞬間の感じ方は、製品表面の成分分布状態による影響を大きく受けると考えられます。したがって、その成分分布状態を適切に評価することで、おいしさに通ずる有効な情報を取得できる可能性があります。
表面状態を適切に評価するためには、成分分布が変化しないよう、サンプリングを要せず、非接触で測定することが求められます。これを実現できる数少ない測定手法のひとつがラマン分光法です。ラマン分光法は散乱光を測定するため、基本的にサンプルを置くだけで測定できます。
今回は、市販ホワイトチョコレートの表面状態を顕微ラマン分光光度計で評価しました。ホワイトチョコレート2種の表面分布状態の比較、ならびに加熱による表面状態の変化(ファットブルーム*の再現)に関する結果についてご報告します。
* ファットブルームとは、油脂の挙動に起因してチョコレート内の成分が相分離や不均一化し、色が変化して見える現象のことです。