技術情報 アプリケーション Application Data 170-AN-0003
Raman Application Data

スライドガラス、石英ガラスのラマンおよびフォトルミネッセンス(蛍光)

Introduction

ラマン測定において、試料ホルダーとしてスライドガラスやカバーガラスを使用する場合、あるいは溶液測定でサンプル管を利用する場合の注意点について述べます。無蛍光ガラスとして市販されているスライドガラスでも、通常の蛍光に比べると、非常に弱いですが、蛍光を発生します。励起波長によっては、大きな妨害になることがあります。実際に、蛍光の影響を見るために、スライドガラスと石英ガラスについて、532 nm 励起と 785 nm 励起のラマン、および蛍光スペクトルを測定しました。それぞれ、横軸を波長、ラマンシフト値で表示しています。スライドガラスでは、532 nm 励起において、低波数域のラマンスペクトルと 693 nm と 880 nm に蛍光スペクトルが観測され、785 nm 励起では、880 nm の蛍光スペクトルが観測されています。532 nm 励起では、ラマンスペクトルが測定される領域(ラマンシフト値;0~4000 cm-1)において、大きな妨害になることはありませんが、785 nm 励起では、880 nm の蛍光が、ラマンシフト値で、1385 cm-1 付近に重なってきます。ラマンスペクトルに比べると、非常に強いため、大きな妨害になります。石英ガラスでは、532 nm 励起、785 nm 励起においても、ラマンバンドのみが観測されており、蛍光の影響はほとんどありません。特に、785 nm 励起においては、試料ホルダー、あるいは液体セルの材質として石英ガラスを用いる必要があります。

Keywords
ラマン分光法、スライドガラス、石英ガラス、532 nm、785 nm
アプリケーションデータ番号
170-AN-0003
発行
2007年
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