炭素(カーボン) は、切削工具や宝石などに用いられる硬いダイヤモンドから鉛筆の芯などに用いられる軟らかい黒鉛まで、多様な構造をとることで様々な物性を示します。炭素材料の分析を行う場合、例えば元素分析法では炭素の存在を確認できますが、炭素であること以上の分析は難しく、またX線回折法では結晶構造に関する情報が得られますが、局所的な分析やアモルファス状態の分析は難しいとされています1)。一方、ラマン分光法では炭素であることに加えて構造に関する情報も得られ、またサブミクロン程度の微小領域を非破壊非接触で測定できるという利点があります。
ここでは顕微ラマン分光光度計を用い、濃さが異なるシャープペンシル替芯 3 種をイメージング測定した結果を紹介します。
1) 藤沢健: 長野県工技センター研報, No. 9, p. M33-M35 (2014)