ラマン分光では半導体材料の組成、面方位、結晶性、密度(濃度)、応力、温度、そして不純物濃度や欠陥、混晶半導体の組成比等の多彩な構造や物性の評価が行われています。キャリア濃度などの電気的な特性の評価には通常、電極を形成してのHall測定が用いられますが、ラマン分光でもⅢ-Ⅴ族化合物半導体のキャリア濃度の見積もりに用いられています。今回は、電力変換用のパワー半導体として注目されているSiC(炭化ケイ素)の単結晶を用い、ラマン分光で結晶多形を判別した例と、キャリア濃度を算出した例を紹介します。