技術情報 アプリケーション Application Data 230-AN-0006
Raman Application Data

ラマン分光を用いたオルト水素・パラ水素比の算出

Introduction

燃料電池のエネルギー源として注目されている水素分子は、原子核の核スピンの向きによりオルト水素(向きのそろった組)とパラ水素(反対向きの組)という2 つの核スピン異性体が存在します。オルト水素とパラ水素は化学的な性質は同じですが比熱等の物理的な性質が異なり、オルト⇔パラ間の変換が非常に長い時間かかるため、それぞれお互い別の分子として扱われることがあります。常温での水素ガスのオルト・パラ存在比は約3:1 と安定していますが、低温にして液化水素にする場合は、ほとんどがパラ水素になり液化します。しかしながら、一部のオルト水素もそのまま液化し、時間が経った後に液化水素内でオルト・パラ変換により生じる発熱が水素貯蔵効率に対し悪影響を及ぼします。そこで工業的に水素ガスを液化する場合は、オルト・パラ転換触媒が必要になります。

ここでは振動分光的手法の一つであるラマン分光法により簡易的にオルト・パラ存在比を評価した例を紹介します。

Keywords
水素ガス、パラ水素、オルト水素
アプリケーションデータ番号
230-AN-0006
発行
2009年
このApplication Dataをダウンロードする