技術情報 アプリケーション Application Data 230-AN-0035
Raman Application Data

マクロラマン分光法を用いた石英ガラス中の水素濃度の定量測定と専用装置について

Introduction

石英は、水晶振動子や石英ガラスに使用されるだけでなく、近年パワー半導体材料として注目されている SiC の原料にも使用されており、その物性評価の重要性は増してきています。純粋な SiO2 の結晶は、天然で産出される石英(鉱物名:水晶)であり、これが結晶ではなく非晶質(アモルファス)な構造になったものが石英ガラスで大部分が人工的に合成されています。身近な使用例としては石英セルや光ファイバーなど様々な用途に使用されています。また、水素添加された石英ガラスは、紫外光照射時の劣化による透過率低下を抑制する効果があるため、半導体製造装置で使用する露光装置の大型レンズなどに使用されています。ラマン分光法では、非破壊・非接触で石英ガラス中の水素濃度を定量することができます。

ラマン分光法での定量測定は、試料の設置状態やラマン散乱光の集光方法などを一定にすることが困難なため、一般的には難しいとされています。ただし、内部標準として石英ガラスの約 800 cm-1 のピークを測定し、同様に水素の約 4136 cm-1 のピークを測定し、その比を求めることで可能となります。測定は、濃度既知の試料を測定して検量線を求め、それに対して未知の濃度試料を測定して定量する一般的な手法です。

Keywords
石英ガラス、水素濃度、HQS-5000、パワー半導体
アプリケーションデータ番号
230-AN-0035
発行
2021年
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