赤外分光法 (IR) において透過法で測定する場合、サンプルが厚すぎるために正しいIRスペクトルが得られないことが多くあります。このような場合の前処理として、KBrプレートにサンプルを挟み圧力をかけて薄くする方法や、ミクロトームやスライサーでサンプルを薄片にする方法が一般的です。これらは正しいIRスペクトルを測定するために有効な手法です。一方で、これらの前処理を簡素化したいというニーズもあります。
このニーズに応えるために、日本分光ではDC-500型ダイヤモンドセルを提供しています。ダイヤモンドセルは、プレス器もスライサーも用いることなく、2枚のダイヤモンド板にサンプルを挟み、手動でつまみを回して圧力をかけるだけで透過法の測定を可能とします。また、使用しているダイヤモンド板が平滑なことから、顕微観察における微小異物の確認が容易なことも特長の1つです。ここでは、ダイヤモンドセルを用いて圧延したゴム状サンプルの分析、ならびにダイヤモンドセルとシェアリングホルダーを使用した樹脂顔料混合サンプルのラマン分光法とIRの複合分析事例を紹介します。