顕微分光光度計を用いることで、従来の分光光度計では困難であったマイクロレンズの反射率測定を高精度に行うことができます。
マイクロレンズは、スマートフォンカメラ、車載カメラ用 LiDAR、医療用内視鏡など、様々な分野で利用されています。高解像度化、広角化が進むマイクロレンズでは、フレアやゴーストを抑制するために、反射防止膜 (Anti-Reflection コート: AR コート) が一般的に施されます。AR コートの性能を評価するには、用途に応じた波長帯域の反射率を測定することが重要です。しかし、マイクロレンズは微細かつ曲面形状であるため、測定領域がミリメートルオーダー以上の従来の分光光度計では正確に反射率を測定することが困難でした。
ここでは、顕微紫外可視近赤外分光光度計 (以下、顕微分光光度計) を用いて、 AR コートが施されたマイクロレンズ表面の反射率を測定した結果を報告します。顕微分光光度計を用いることで、測定スポット径をマイクロメートルオーダーに設定し、曲面上の微小領域を平面に近似して測定できます。また、迷光の少ない分光器と共焦点光学系を採用することで、裏面反射光の影響を受けずに 0.1 % 以下の反射率を精度良く測定できます。