製品情報 メソッドスカウティングシステム
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メソッドスカウティングシステム

メソッドスカウティングシステム
メソッドスカウティングシステムは、メソッド開発において重要な課題である分析条件の最適化を簡便にします。日本分光の高速液体クロマトグラフ・超臨界流体クロマトグラフにオプションプログラムであるメソッドスカウティング支援プログラムを追加することで、移動相・カラムなどの条件を組み合わせた複数の測定メソッドを自動生成、スカウティングの実行及び結果の一括表示ができます。

メソッドスカウティングシステムの特長

メソッドスカウティングシステムのメリット

分析条件の検討をする際に、たくさんの条件設定を行わなければならないため、作業者の労力を必要とします。メソッドスカウティングシステムでは、固定するパラメーターと検討するパラメーターを指定するだけで必要となる測定条件を一括で作成できます。

概要

測定条件の一括作成

オプションプログラムのメソッドスカウティング支援プログラムを追加すると、複数の測定条件を一括で作成することが可能になります。スカウティングメソッド編集画面で、固定するパラメーターを『コントロールメソッド』に、検討するパラメーターを『パラメーター』に指定することで測定条件(スカウティングメソッド)が一括作成されます。移動相やカラム(要専用バルブ)、流量、検出波長、カラム温度、圧力(超臨界流体クロマトグラフ)などのパラメーターを検討することが可能です。

測定条件の一括作成

スカウティング結果の一括表示

スカウティングで得られたクロマトグラムは、移動相やカラムなどの測定条件ごとに振り分け表示することが可能なため、最適条件の絞り込みもスムーズです。

スカウティング結果の一括表示
スカウティング結果の一括表示

超臨界流体クロマトグラフ(SFC)で高速メソッドスカウティング

超臨界流体クロマトグラフィー (Supercritical Fluid Chromatography, SFC) は、HPLCと比較して高速分離が可能であり、カラム内の溶媒置換や分取後の処理が容易かつ溶媒使用量を低減できるといった特長をもつことから、光学異性体分離(キラル分離)・分取に用いられる例が増加しています。カラムオーブン CO-4065 には、最大 10 本のカラムまで同時接続することができ、網羅的なスカウティングを実現します。

超臨界流体クロマトグラフ
超臨界流体クロマトグラフ
カラム切換バルブ
カラム切換バルブ

使用溶媒量の計算機能

測定シーケンスの入力画面に、およその溶媒使用容量の自動計算機能があります。測定前におよその溶媒使用量が確認できるので、作業者は余裕を持った溶媒の準備ができます。溶媒不足による測定中断を防ぐのに役立ちます。

概算使用溶媒容量ダイアログボックス
概算使用溶媒容量ダイアログボックス

使用例

キラル分離条件の探索

医薬品や農薬の合成において、目的とする化合物が光学活性をもつ割合が増えています。また、それらの光学異性体は、物理化学的性質が同じであっても生理活性が異なる場合が多く、近年では、光学異性体のどちらか片方のエナンチオマーのみを使用することで薬効を高めたり副作用を低減できる例が報告されています。
光学異性体の分離には、キラルカラムが使用されます。光学異性体の分離時には細かな構造が分離に大きな影響を与えるため、過去の文献だけで判断するのがとても難しくなります。そのため、個々の物質に対して多種のカラム及び溶媒とを組み合わせたメソッドスカウティングを行うことで、条件を探索・選択する必要があります。
超臨界流体クロマトグラフを用いて、補助溶媒(Methanol, Acetonitrile/Ethanol(80/20), MTBE/Ethanol(80/20))とキラルカラム(CHIRALPAK IA, IB, IC, ID, IE, IF/SFC)の条件振りをしてワルファリンに対してメソッドスカウティングした結果を以下に示します。
* CHIRALPAK は株式会社ダイセルの商標です。
メソッドスカウティング結果(UV)
ワルファリンのメソッドスカウティング結果(UV)
メソッドスカウティング結果(CD)
ワルファリンのメソッドスカウティング結果(CD)
ワルファリンの各条件での分離度の比較
CHIRALPAK IA CHIRALPAK IB CHIRALPAK IC CHIRALPAK ID CHIRALPAK IE CHIRALPAK IF
Methanol 5.11 4.56 1.19 2.07 2.26 N.S.
Acetonitrile/Ethanol (80/20) 4.61 2.05 1.42 2.21 1.37 N.S.
MTBE/Ethanol (80/20) N.E. N.E. N.E. N.E. N.E. N.E.
N.S:Not Separated(分離できませんでした)
N.E.:Not Eluted(溶出しませんでした)

条件探索の標準化

条件探索は経験豊富なクロマトグラファーにしかできないと思われがちですが、メソッドスカウティングシステムを使うと、スカウティング操作が標準化できます。カラムや溶媒・グラジエントパターン等の条件を決めれば、溶媒の準備やカラムの取り付けなど最小限の作業で条件探索ができるため、作業効率アップにつながります。
探索条件の標準化