シアンは自然水中にはほとんど存在しませんが、シアン化物イオンは排水などの混入によって、また塩化シアンは水を塩素処理した場合に生成される可能性があります。いずれも水道法の重要な水質基準項目の一つです(厚生労働省令第101号)。シアン化物イオンおよび塩化シアンの分析には、イオンクロマトグラフ–ポストカラム吸光光度法が採用されています。この方法は、水質基準に関する省令に基づき厚生労働大臣が定める方法(厚生労働省告示第261号、最終改正:令和7年3月26日環境省告示第25号)に準拠しています。令和7年の改正では、発色剤の溶媒に以前から定められていたN,N-ジメチルホルムアミドに加え、有害性の低いエチルアルコールを使用することが可能となり、より安全な検査環境が整備されました。この分析法では、カラムから溶出したシアンにクロラミンTを作用させて塩化シアンとし、次いで4-ピリジンカルボン酸・ピラゾロン溶液と反応させて得られる青色物質を波長636 nmで測定することで、シアン化物イオンおよび塩化シアンを分離定量します。水質検査の実施にあたっては、基準値の10分の1付近における値の変動が10 %以下となるよう精度を確保する必要があります。
今回の測定では、分析時間が従来の半分となる高速分析用カラムRSpakKC-811 6Cを使用し、妥当性評価ガイドライン(平成24年9月6日付け健水発0906第1号別添、最終改正:平成29年10月18日付け薬生水発1018第1号)に準じて、シアン化物イオンおよび塩化シアンの検量線の妥当性評価を実施しました。
