ニュース お知らせ 新型コロナウィルス抗体医薬品分析について
2020年5月21日

RePHAGEN株式会社*1は、公共データベース (Genbank) にアップされている新型コロナウイルスの塩基配列を基に、スパイク蛋⽩質のS1サブユニットを⾃社で作製し、これを抗原として⾃社のVHH抗体ライブラリーから、コロナウイルスの受容体結合ドメイン (RDB) に対する特異性の⾼いVHH抗体を選び出しました。さらに相補性決定領域 (CDR) の⼀部をシャッフルするなどして結合能をより⾼めたVHH抗体を作り出しました。

今回、それらのうちの3種のVHH抗体について試料のご提供を頂き、二次構造推定、熱安定性評価、リフォールディング能について、日本分光製 円二色性分散計 J-1500 を用いて評価を行いまいした。

また、その二次構造推定はDepartment of Biochemistry Institute of Biology Eötvös Loránd University (HUNGARY) の運営するWebサイト BeStSel (Beta Structure Selection)*2 にて実施させて頂きました。

Application Data のご紹介

抗体医薬品は製剤条件や保存環境によって構造が変化し、失活する可能性があるため、品質を維持するためには、構造の安定性を評価することが不可欠です。特に、抗体医薬品の安定性評価では、一部のタンパク質の温度による変性において高い可逆性があることから、オンセットに加え、変性温度やリフォールディング能の評価が重要です。

ここでは、円二色性 (CD) 分光法はを用いた異なるシーケンスの抗新型コロナウィルス (SARS-CoV-2) VHH 抗体3種のオンセット、変性温度、そして VHH の骨格を形成する β-sheet 構造に着目したリフォールディング能を検証した結果をご紹介いたします。

200-CD-0035

Application Data のご紹介

バイオ医薬品は製造工程の変更や保存環境によってその構造が変化する可能性が大いにあるため、製造工程の変更後や保存後にも高次構造が維持されていることを確認する必要があります。

この高次構造の変化を CD スペクトルから 統計検定を用いて定量的に評価できる qHOS プログラムを日本分光では用意しています。

ここでは、多検体 CD 測定を可能にする HTCD Plus およびqHOS プログラムを用いた異なるシーケンスの抗新型コロナウィルス (SARS-CoV-2) VHH 抗体3種の高次構造を評価した例を紹介いたします。

Principle-qHOS
RePHAGEN株式会社

*1 RePHAGEN株式会社
200億の多様性からなるラクダ科 VHH 抗体提示ファージライブラリーからの超安定型 VHH 抗体の迅速作製技術および天然ファージを活用した殺菌剤・耐性菌感染治療薬開発技術。この2つを基盤技術に受託事業及び共同研究開発事業を展開する。
〒904-2234 沖縄県うるま市字州崎5番8 沖縄ライフサイエンス研究センター120号室

BeStSel

*2 BeStSel
Micsonai. A, BeStSel: a web server for accurate protein secondary structure prediction and fold recognition from the circular dichroism spectra, , Nnucleic Acids Res, 2018, 46, 315-322 (Nucleic Acids Research へのリンク)
Micsonai. A, Accurate secondary structure prediction and fold recognition for circular dichroism spectroscopy, PNAS, 2015, 112, 3095-3103 (PNAS へのリンク)