特定の分子と特異的に結合する働きを持つ約 20 塩基かそれ以下の短い DNA は DNA アプタマーと呼ばれます。DNA アプタマーは、化学合成が可能で、かつ高い特異性を有していることから、医薬品やバイオセンシングにおける次世代のリガンドとして注目されています。DNA 構造の熱力学安定化には金属イオンが必須ですが、その構造は金属イオンの種類や濃度により変化するため、金属イオンの種類や濃度によって活性が変化する可能性があります。そのため、DNA アプタマーの開発や品質管理の過程では、さまざまな金属イオンの種類や濃度条件下でその構造を評価することが不可欠です。
円二色性分散計 (CD) は、均質な条件下かつ低濃度の試料で簡単に核酸の三次構造を評価することができるため、核酸の構造評価に有効な手法です。ここでは、ハイスループット CD (HTCD) システムと主成分分析 (PCA) を用いて、脳内で凝集すると認知症などの神経変性疾患を引き起こす原因となるα-シヌクレインと呼ばれるタンパク質に特異的に結合する Gquadruplex (G4) アプタマーの三次構造の評価を行った例を紹介します。