技術情報 アプリケーション Application Data 210-CD-0018
CD Application Data

CD多変量SSE解析プログラムの紹介

Introduction

タンパク質やペプチドの構造はその機能と密接に関連しており、タンパク質やペプチドの医薬品への応用分野ではCD測定法はそれらの分子の構造解析に広く用いられています。CDスペクトルはタンパク質やペプチドの二次構造の存在比を反映した形状を示し、CDスペクトルによる二次構造解析はタンパク質やペプチドのCDスペクトルからその二次構造の存在比を解析するものです。

JWSSE-513 タンパク質二次構造解析プログラムはClassical Least Squares (CLS)法を利用した二次構造解析プログラムであり、YangとReedのリファレンススペクトルを付属しています。Yangのリファレンススペクトルはタンパク質のCDスペクトルから抽出したスペクトルであり、タンパク質の二次構造解析に適しています。それに対し、ReedのリファレンススペクトルはペプチドのCDスペクトルから抽出したスペクトルであり、タンパク質に見られる芳香族アミノ酸の側鎖由来のCDの影響が少なく、ペプチドの二次構造解析に適したものです。ペプチドの二次構造解析を行う場合には、Reedのリファレンススペクトルを付属したJWSSE-513 タンパク質二次構造解析プログラムが有効です。

これに加え、日本分光では新たにJWMVS-529 CD多変量SSE解析プログラムをラインナップしました。JWMVS-529 CD多変量SSE解析プログラムでは日本分光で作成した26種類のタンパク質のCDスペクトル(176~260nm)とそれらをもとに作成した検量モデルを付属しています。また最新の多変量解析の手法であるPartial Least Squares (PLS)法とPrincipalComponent Regression (PCR)法を採用しています。PLS法とPCR法はスペクトルを少数の潜在因子に圧縮し、その潜在因子を用いて濃度を表すモデルを用いており、濃度の残差が最少になるように二次構造存在比を算出します。これにより、特徴的な強いCDピークを持たないβ-シート構造の解析精度の向上を実現しました。また、作成した検量モデルの検証機能や解析結果の妥当性確認の機能も搭載しています。

● 二次構造解析の最新情報
従来、解析が困難であったβシートリッチタンパク質を含め、幅広いタンパク質の二次構造を高精度に推定できるアルゴリズム『BeStSel』を用いた解析例をもぜひご参照ください。
 新しい情報はこちら:200-CD-0039 円二色性分散計を用いた高濃度抗体の二次構造解析

Keywords
二次構造解析, PLS/PCR法, 解析結果の妥当性確認
アプリケーションデータ番号
210-CD-0018
発行
2013年
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