技術情報 アプリケーション Application Data 210-FP-0028
FP Application Data

蛍光スペクトルによるリゾチームの熱変性評価

Introduction

生体内におけるタンパク質の機能解明や、抗体医薬品の研究開発において、タンパク質の構造評価は重要です。タンパク質は紫外光によって励起されると蛍光を発しますが、この蛍光はタンパク質を構成する芳香族アミノ酸 (トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン) に起因します。その中でも、トリプトファンは他の芳香族アミノ酸よりも強い蛍光を発し、周辺環境の構造変化や溶媒極性の変化に敏感であることが知られています。トリプトファンは水溶液中で約 280 nm に励起極大を示し、350 nm 付近でピークとなる蛍光を発します。通常、水溶液中のタンパク質は表面が親水性残基に覆われ、内部に疎水性残基が詰め込まれた状態で存在します。タンパク質が変性し、疎水性内部に隠れていたトリプトファン残基が外部の親水性環境にさらされると、蛍光ピーク波長が長波長側にシフトすることが知られています。このことを利用して、蛍光測定から変性剤や温度によるタンパク質のフォールディング / アンフォールディングや、他分子との相互作用の評価が行われています。

ここでは、トリプトファン残基を持つリゾチームの温度変化に伴う変性評価を行いました。

Keywords
蛍光、タンパク質、変性、アンフォールディング、芳香族アミノ酸、トリプトファン、リゾチーム、温度インターバル測定
アプリケーションデータ番号
210-FP-0028
発行
2021年
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