技術情報 アプリケーション Application Data 050-AT-0215
FTIR Application Data

ATR 法を用いた食品中のトランス脂肪酸の簡便な定量分析

Introduction

トランス脂肪酸は液体の油を固化させる際に生じ、食品の硬化油に含まれています。トランス脂肪酸の過剰な摂取は、血中 LDL(悪玉)コレステロールを上昇させ、HDL(善玉)コレステロールを低下させることにより虚血性心疾患発症のリスクを高めることが報告されるなど、近年健康への影響が懸念されています。FAO(国連食料農業機関)・WHO(国連世界保健機関)合同専門家協議会の報告書では、トランス脂肪酸の摂取量はエネルギー比で 1%未満とすることが提唱されています。諸外国の動向として、EU 管内の一部の国では食品中の含有量が制限されているほか、アメリカ・カナダ・韓国などの各国ではトランス脂肪酸含有量の表示が義務付けられています。日本においても、消費者庁からトランス脂肪酸含有量表示の義務付けを検討することが発表されました。

このように、食品中のトランス脂肪酸含有量を測定することは重要になってきています。実際の定量分析は公的機関等が指定した公定法で分析するのが一般的で、トランス脂肪酸含有量測定の公定法として、現在は GC(ガスクロマトグラフィ)や赤外分光法が用いられています。これまでは GC を用いた方法が広く用いられてきましたが、試料の分離抽出やエステル化といった煩雑な処理が必要で、時間とコストがかかるという課題がありました。これを解消する測定手法として AOAC(公的分析化学者協会)では、赤外分光法として ATR を利用した公定法 AOAC 2000.10 を定めました。

今回、公定法に記載されている ATR 法を用いて検量線を作成し、種々の油脂中のトランス脂肪酸の定量分析を行いましたのでご報告いたします。

Keywords
ATR、トランス脂肪酸、定量、公定法、油脂
アプリケーションデータ番号
050-AT-0215
発行
2010年
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