ヨウ素価は、脂質の不飽和度の指標として油脂やバイオディーゼルなどの性状評価に用いられています。一般的にヨウ素価は ASTM や JIS などに記載されているような酸化還元反応を利用した湿式分析法により求められますが、操作が煩雑であるという問題点があります。この問題点を解決するためにこれまでに赤外やラマン分光などの振動分光学的手法を用いたヨウ素価評価方法を提案してきました(050-TR-0125 FT/IR application data)。ここでは、更なるヨウ素価の測定精度の向上を目指すために、空冷ペルチェ素子を利用した試料の温調システムと FT-NIR(フーリエ変換型近赤外分光光度計)を組み合わせたヨウ素価測定システムを作成いたしました。このシステムを用いて得られた油脂の近赤外スペクトルと従来の湿式分析により得られたヨウ素価を用い PLS 法による検量モデルを作成し、実サンプルに適応することでシステムの有効性を評価することを目的としました。