技術情報 アプリケーション Application Data 100-TR-0281
FTIR Application Data

JIS K 1557-6 に準拠したポリオール中水酸基価の測定

Introduction

ポリウレタンは抗張力、耐摩耗性および耐油性に優れており、その用途は塗料、接着剤、スポンジ、繊維製品、革製品および自動車のシートクッションなど多岐に渡ります。ポリウレタンの製造は通常、イソシアネートと水酸基を有するポリオールを重合(重付加)させて行います。そのため、ポリウレタンの特性にはイソシアネートと反応するポリオールの水酸基量が大きく影響してきます。水酸基量を示す指標である水酸基価*を測定し、ポリオールを管理することでポリウレタンを適切に製造できます 。

ポリオール中の水酸基価を求める標準的な手法として、JIS K 1557-1 ではポリオールの水酸基を十分な試薬によりアセチル化もしくはフタル化し、反応しきれなかった試薬の過剰分を滴定することで間接的に水酸基価を算出しています(以下、標準法とします)。しかし標準法ではアセチル化もしくはフタル化のための試薬や滴定に用いる試薬が必要となり、また短時間で定量を行うことも困難です。そこで簡易的な手法として、JIS K 1557-6 では近赤外分光法を用いた方法が示されています。あらかじめ標準法によりリファレンス試料の水酸基価を求める必要はありますが、その値と近赤外スペクトルとの相関を示す検量モデルを一度作成しておくことで、水酸基価を短時間かつ容易に、少ない試料量で測定することができます。また、標準法のように試料以外の試薬を使う必要もありません。

ここでは JIS K 1557-6 に準拠し、多変量解析の一つである部分最小二乗法(以下、PLS 法とします)によるフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いた水酸基価の測定例を紹介します。

* 水酸基価は試料 1 g 中の水酸基と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量(mg)で表されます。

Keywords
水酸基価、ポリオール、ポリウレタン、JIS K 1557-6、近赤外分光法、多変量解析、PLS 法
アプリケーションデータ番号
100-TR-0281
発行
2023年
このApplication Dataをダウンロードする