JIS R 3106では板ガラス類の透過率、反射率、放射率、日射熱取得率を紫外可視分光光度計や赤外分光光度計を用いて求める試験方法が規定されています。物体は温度に応じて表面から電磁波(主に赤外線)の形でエネルギーを放出しており、これを一般的に放射(輻射)と呼びます。JIS R 3106には垂直放射率を算出する方法として、赤外分光光度計で測定した板ガラスの分光反射率から反射率を求め、得られた反射率から垂直放射率を算出する手法が記述されています。
JIS R 3106に記載されている赤外分光光度計を使用した板ガラス垂直放射率の測定条件と、日本分光のFT/IR-4100+正反射測定装置RF-81Sの仕様を表1に示します。 FT/IR-4100標準構成に正反射測定装置RF81Sを搭載することによってJIS R 3106に準拠した測定が可能であり、この規格にカスタマイズされた「IR反射率・放射率計算プログラム」を組み合わせることによって、簡便に板ガラスの放射率が算出できます。
最近注目されているLow-Eガラス(Low Emissivity Glass:低放射ガラス)は、板ガラス表面に特殊金属膜をコーティングした素材です。通常の板ガラスと比較して放射率が低いことから遮熱性や断熱性に優れ、省エネ効果が高い素材として期待されており、FTIRでは放射率の定量的な評価が可能です。
今回は金属膜がコーティングされているLow-Eガラスの分光反射率をFT/IR-4100で測定し、「IR反射率・放射率計算プログラム」で垂直放射率を算出した事例をご紹介します。