技術情報 アプリケーション Application Data 260-MT-0209
FTIR Application Data

複合成分検索と新規ライブラリを用いた異物分析例の紹介

Introduction

複数成分が混在している未知試料のIRスペクトルを従来の検索手法により同定するにはある程度の技能が必要でした。これは、従来法が単一成分で登録されているライブラリ内のスペクトルとの一致度のみで検索を行うためであり、次のような複雑な操作を行っていたためです。複数成分が混在している試料を解析するためには、まずライブラリ内で形状の最も近いスペクトルを検索し(主成分)、検索結果と未知試料の差スペクトルを算出したのち、再検索をすることで副成分の同定を行っていました。この方法を繰り返し行うことで、第2成分の同定を行うことは可能ですが、このようなデータ処理を行うためにはスペクトルを解析する技能が必要であり、成分数が増えるに従い、検索精度は落ちていきます。

今回、日本分光のFTIRに標準で搭載されている検索エンジンである[KnowItAll](Bio-Rad社製)に、複合成分の同定を簡便に行う[Mixture Analysis]が新しく加わりました。[Mixture Analysis]は複合成分検索(最大成分数4)を、差スペクトルなどのデータ処理をすることなく迅速に行うことができます。さらに日本分光では標準で搭載されている10000件ライブラリに加え、新しく有機、無機、高分子約400種類のスペクトルから成るライブラリを追加しました。ここで追加された約400種類のスペクトルは日本分光で過去3年間に行った測定結果に基づいて作成したライブラリで、異物分析はもとより食品添加物や高分子、繊維などのデータが盛り込まれています。

今回は標準で搭載される約10400件のライブラリを用い、樹脂中に含まれていた異物を[MixtureAnalysis]で検索した結果、複合成分から成る異物であることが確認できたのでご紹介します。

Keywords
顕微、透過、スペクトル、ライブラリ、異物
アプリケーションデータ番号
260-MT-0209
発行
2009年