不活性ガス雰囲気下でバイアル瓶等に封入された電解液を容器越しに測定し、溶媒和を解析することが可能です。
ラマン分光法は分子の振動や回転に関する情報を得ることができ、溶液測定では溶質分子が溶媒分子と相互作用することで生じる分子振動の変化を観測できます。特に、Li イオン電池の電解液の分析においては、溶媒分子の Li イオンへの配位状態の解析を目的として用いられています。
また、ラマン分光法では、バイアル瓶や石英セルなど、励起光やラマン散乱光を透過する容器越しの測定が可能です。これにより、水分を避ける必要があることも多い Li イオン電池用電解液を不活性ガス雰囲気下に封入したままでの容器越し測定も可能となります。
ここでは、参考文献に基づき電解質として Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide (LiTFSI)、溶媒として N,N-Dimethylpropionamide (DMPA) (図1) を使用して 0 mol/L-3.2 mol/L の電解液を調製し、マクロ測定ユニットを用いて試料をバイアル瓶に封入したまま測定した結果を報告します1),a)。
1) 藤井健太, 藤野浩気: 分析化学(Bunseki Kagaku), 67, 12 (2018) .DOI: 10.2116/bunsekikagaku.67.727
a) マクロ測定ユニットを利用した容器内サンプルの迅速測定