技術情報 アプリケーション Application Data 200-UV-0050
UV Application Data

コンパクト・効率的な核酸のTm 評価システムのご紹介

Introduction

十数から数十塩基のヌクレオチドから構成される核酸医薬品は、新たな創薬モダリティとして注目を集め、近年数多くの核酸医薬品が上市されています1)。アンチセンス核酸や siRNA は配列特異的に遺伝子の発現を制御できるため、低分子医薬品や抗体医薬品が標的にできないアンドラッガブル(創薬不可能) 蛋白質を標的とすることができます2,3)。アンチセンス核酸は標的とした mRNA のセンス鎖と二本鎖を形成することで mRNA の分解やエクソンスキッピングを誘導し、標的蛋白質の発現を制御します2,3)。siRNA は二本鎖の状態で RNA 誘導サイレンシング複合体に取り込まれて RNA を分解することで、標的蛋白質の発現を制御します2,3)。これらは共に核酸の二本鎖形成が薬効の発現に必須であるため、二本鎖の安定性の指標となる変性中点(Tm)の評価が盛んに行われています。

Tm を評価する温度変化測定では、試料を 95 °C 付近まで加熱する必要があるため、温度制御素子を水冷保護する水冷式のペルチェセルホルダーが利用されます。日本分光ではシングルセルタイプの ETCS-761/762 水冷ペルチェセルホルダーおよび最大8 試料を自動測定できる PAC-743 水冷ペルチェセルチェンジャーをラインアップしています。

核酸医薬品市場の拡大に伴い、連続測定可能なシステムに加え、循環恒温槽等の設備が不要な、コンパクトなシステムの要望が高まっています。この要望にお応えするため、日本分光は冷却設備が不要で 95 °C 以上まで加熱可能な EHCS-932 空冷ペルチェセルホルダーおよび測定前のアニーリングから Tm 測定までを自動化したシステムを開発しました。

ここでは、このシステムを利用してオリゴ核酸の二本鎖形成の Tm および他の熱力学パラメーターを高精度に算出した結果を紹介します。

Keywords
核酸医薬品、オリゴ核酸、アンチセンス、siRNA、アプタマー、二本鎖、Tm、融解温度、熱安定性、アニーリング、効率化
アプリケーションデータ番号
200-UV-0050
発行
2024年
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