技術情報 アプリケーション Application Data 280-CA-0002
Application Note

3次元スペクトルの詳細な解析に有用な“二次元相関分光法”

Introduction

インターバル測定や温度変化測定により取得したスペクトルは、波数と強度に加えて時間や温度の3 つの軸からなる3次元スペクトルになります。3次元スペクトルから時間や温度に伴う構造変化を分析する場合、通常、複数のスペクトルにおけるピークの強度変化やシフトをひとつひとつ解析する必要がありますが、バンドが重なり合う領域や見た目での判断が難しい僅かなピークの変化を解析することは容易ではありません。このような3次元スペクトルの解析に、二次元相関分光法が有効です。

日本分光の二次元相関プログラムを用いると、簡単に二次元相関分光法による解析を行えます。二次元相関プログラムでは、各波数での経時変化や温度変化に伴うバンドの挙動をフーリエ変換し、実部と虚部を算出します。実部は「同時相関」、虚部は「異時相関」と呼ばれ、それぞれの相関スペクトルは等高線図や色分け図として表示されます。同時相関や異時相関を算出することで、重なり合ったバンドの分離や隠れていたバンドの確認、バンド間の変化の関係性や変化のズレを容易に分析できます。

ここでは、二次元相関プログラムで解析した際に得られる結果についてご紹介します。

●同時相関とは
ある2つの波数でのピーク強度が増減した際、変化が互いに同方向か異方向かを示します。
正:ピーク強度の増減が同方向(互いに増加あるいは互いに減少する)
負:ピーク強度の増減が異方向(一方は増加、もう一方は減少する)

●異時相関とは
ある2つの波数でのピーク強度が共に増減した際の変化のズレを表します。
ただし、同じ波数座標における同時相関が負の場合、異時相関の正負の関係は逆になります。
正:X軸のピーク強度の変化が、Y軸のピーク強度の変化より先に起こる
負:X軸のピーク強度の変化が、Y軸のピーク強度の変化より後に起こる
※ 二次元相関スペクトルにおける横軸をX軸、縦軸をY軸と定義しています。

Keywords
二次元相関分光法、インターバル測定、温度変化測定
アプリケーションデータ番号
280-CA-0002
発行
2023年
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