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液化窒素温度(77K)で発光材料のりん光量子効率測定

概要

近年、有機EL素子などの発光材料としてりん光物質が注目を集めており、その開発においてりん光材料の量子効率測定が求められています。一般的に、りん光は試料を液化窒素温度(77K)に冷却することにより観測されますが、従来の積分球を用いた量子効率測定は室温で行われており、液化窒素温度に冷却した状態での測定は行えませんでした。そこで日本分光は、試料を液化窒素温度まで冷却できる、冷却100mmφ積分球ユニットを分光蛍光光度計の特別付属品として開発しました。ここでは、この冷却100mmφ積分球ユニットを用いて、液化窒素温度でのりん光の量子効率測定をした例をご紹介いたします。

測定手法

冷却100mmφ積分球ユニットは、取り外し可能なデュワー瓶が付属しており、液化窒素温度での低温測定だけでなく、デュワー瓶を取り外しての常温測定も可能です。液体、固体、粉末など様々な試料形状に対応できます。
りん光量子収率測定
図1 りん光量子収率測定システム
積分球
図2 常温測定中の積分球内イメージ
[推奨システム]
FP-8500 分光蛍光光度計
ILFC-847 冷却100mmφ積分球ユニット
FWSQ-6017 固体量子効率計算プログラム
ESC-842 副標準ハロゲン光源
LPH-140 冷却用液体試料セル

測定結果

代表的なりん光試料であるベンゾフェノンを液化窒素で冷却して測定しました。その結果を図3に示します。量子効率(Φ)の計算結果を表に示します。りん光量子効率は0.93と算出され、文献値*の0.9とよい一致を示しました。
* 実験化学講座3 基礎編Ⅲ 物理化学 下、日本化学会編、丸善株式会社 ISBN:4-621-07303-6
ベンゾフェノンのスペクトル
図3 ベンゾフェノンのスペクトル
表1 ベンゾフェノンのりん光量子効率
ベンゾフェノンのりん光量子効率