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生命の起源を知る「はやぶさ2 プロジェクト」

はやぶさ2 プロジェクト
イラスト:池下章裕氏提供

はやぶさ2 プロジェクト

「はやぶさ2」は、小惑星「イトカワ」を訪れ、2010年にサンプルを返却した最初の小惑星探査機「はやぶさ」の後継機です。「はやぶさ2」は、C型小惑星「リュウグウ」に着陸しサンプルを取り出すというミッションを完了しました。小惑星「リュウグウ」は、太陽系の初期の状態を比較的とどめていると言われており、この貴重なサンプルを分析することで生命や太陽系の起源を解明するために重要となることと期待されております。

持ち帰ったサンプルの分析に貢献

リュウグウは、S型小惑星イトカワよりも原始的な天体であり、同様の岩石小惑星ですが、有機物や含水鉱物が多く含まれていると考えられています。地球を構成する鉱物、海の水、そして生命の基本的な前駆体は、太陽系の初めの原始太陽系星雲と密接な関係を持っていたと考えられています。

これらのユニークなサンプルの分析は、太陽系の端における有機物や水の存在についてより多くの知識を提供します。この知識は、基本的な材料がどのように共存し、相互作用したかを理解し、生命の起源について理解を深めるための鍵となるかもしれません。この壮大な使命に日本分光グループが関わることは、本当に名誉なことです。今後も先進の技術で次世代への貢献をしていきます。

地球外試料キュレーションセンター内に設置
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
相模原キャンパス 地球外試料キュレーションセンター(ESCuC)内に設置
VIR-300と照射及び集光光学系
日本分光製のVIR-300と分光計器製の照射及び集光光学系

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 地球外試料キュレーションセンターのリンクはこちら

プロジェクトへの協力企業の一社として、サンプル分析での貢献に対し 2021年12月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)はやぶさ2プロジェクトより感謝状をいただきました。

感謝状

*撮影のためマスクを外しています。

感謝状
感謝状

宇宙航空研究開発機構での予備分析の測定結果が論文に掲載されました

小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの予備分析の結果が nature astronomy 誌に掲載されました。

得られた赤外反射スペクトルの結果、水酸基吸収に対応する特徴、有機分子または炭酸塩吸収に対応する特徴が観測されました。また、複合的な分析の結果、窒素に富む相の存在も示唆されました。

nature astronomy 誌へのリンクはこちら

日刊工業新聞に掲載されました

2022年5月30日付けの日刊工業新聞に、弊社に関する記事(はやぶさ2を作ったサムライ企業19「試料分析向け赤外分光光度計」)が掲載されました。

日刊工業新聞社から著作権利用の許諾を受けています。

「はやぶさ2」固体有機物分析チームの研究が Science に掲載されました

2023年2月24日の宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプレスリリース発表によると、2023年2月24日に米国の科学雑誌 Science に、「固体有機物分析チーム」の初期分析結果が掲載されました。

この分析プロジェクトの一環として、当社の FTIR 顕微鏡システム FT/IR-6100 + IRT-5200 がこれらのサンプルの分析に貢献できたことを光栄に思います。

タイトル 小惑星リュウグウ試料中の黒い固体有機物
原 題 Macromolecular organic matter in samples of the asteroid (162173) Ryugu
掲載誌 Science
DOI 10.1126/science.abn9057