日本分光独自の検出器移動法により、従来法(V-N法)では不可能であった入射角を自動連続可変させながら絶対反射率・透過率の測定が行えるシステムです。入射角/検出器角/偏光子角の独立制御と自動連続可変測定が可能なうえ、ダブルビーム光学系による優れた測光安定性を誇ります。
システム制御は全てPCプログラムによる自動制御のため、入射角/検出器角移動・透過/反射測定切換・偏光子角変更時等に手動操作による設定ミス及び設定誤差や測定者間の人的誤差等がなく、再現性の高い測定が簡単に行えます。
自動絶対反射率測定ユニットの内部画像とイメージを示します(図1、2)。試料ステージと検出部を回転させることにより、入射角と受光角を変化させることができます。試料ステージと検出部はPCから制御します。透過率と絶対反射率の評価を同じシステムで行うことができます。
PC 制御の偏光子が標準で内蔵されているため、自動で入射光の偏光状態(S、P 偏光)を変えることができます。ダイクロイックミラーのような、入射光の偏光状態によって分光特性が異なる素子の評価において便利な機能です。偏光測定を行う場合は、測定前に他の条件と併せて設定できます。
アプリケーションデータ「260-UV-0001:自動絶対反射率測定システムによるダイクロイックミラーの測定」で測定例をご紹介しています。
自動絶対反射率測定装置は、専用ソフトウェアより試料ステージの回転角度(入射角)と検出器の位置(受光角)および偏光子(S、PまたはN偏光)を制御します。1回の測定で複数の入射・受光角における絶対反射率スペクトルの連続測定や、一つの入射・受光角に対してS・P偏光の両方を測定するような設定も可能です。
絶対反射率角度スキャン測定プログラム(オプション)は、最大 8 波長の角度変化測定を行うことができます。図3は 550 nm において入射角を変化させたときの SiO2 の絶対反射率を測定し、ブリュースター角(屈折率の異なる物質の界面において P 偏光の反射率がゼロとなる入射角)を検出した結果です。P 偏光の反射率は、56° において最小になっていることが分かります。
スマートフォンなどの画面に貼るのぞき見防止フィルムは、透明層と遮光層が交互に配置されたブラインドのような構造を持っており、左右や上下などから画面が覗きこめないようになっています。この構造上、視野角は遮光層の高さやピッチで変化します。このような構造体の視野角や透過率の評価には、指定した角度に試料を回転させてスペクトルを測定できる絶対反射率測定ユニットでの測定が最適です。
ここでは、スマートフォン用ののぞき見防止フィルム(商品仕様:視野角 65 deg)の透過スペクトルの角度依存性を測定した結果をご紹介します。図4に入射角 −60~60 deg を2度間隔でスペクトル測定したインターバルデータを、図5に 550 nm における透過率の角度依存性を示します。図4よりフィルムの公称視野角の ±32.5 deg 付近では透過率が約 5 % であり、ほとんど光を透過していないことがわかります。
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