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FTIRによるリチウムイオン電池の評価
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FTIRによるリチウムイオン電池の評価
リチウムイオン電池の構造
リチウムイオン電池は図1のような構造になっています。 通常の測定だけでなく、市販のグローブボックスに収納し、アルゴンガスなど、高純度ガス雰囲気下で反応過程をin-situモニタリングすることも可能です。
今回のFTIRでは、セパレータ、電極界面の分析例を、次回のラマン分光光度計では、バインダー、正極、負極の分析例を紹介します。
図1 リチウムイオン電池の概略図
概要
フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)やラマン分光光度計を用いることによって、リチウムイオン電池材料の組成分析や製品の劣化解析、電極界面の分子配向などを評価できます。これらのうち、赤外分光法は高分子の組成分析や電極界面における分子挙動の解析に有力な分析ツールです。今回は、FTIRを用いたリチウムイオン電池材料の分析例を紹介します。
図2 赤外顕微鏡(左)と接続したFTIR(右)
セパレーターの分析
セパレータは一般的に多孔性ポリオレフィンが使用されています。今回、延伸したポリプロピレンの配向度をマルチチャンネル赤外顕微鏡IRT-7000によりイメージングして成分分布を解析しました。 得られた結果から垂直振動である809cm
−1
と平行振動である1304cm
−1
のピーク比を用いて分子配向のイメージを作成したところ、図のような配向分布をしていることが確認できました。
図3 偏向子0°の時の点AとBのスペクトル
図4 809cm
−1
の強度比でのイメージング
図5 809cm
−1
の強度比でのイメージング
電極界面の分析
電気化学セル導入光学系
ATR-S60ED電気化学セル導入光学系は、電気化学セルを測定部にセットすることにより、電極付近の赤外吸収スペクトルを測定できます。
* ATR-S60EDは、光学系のみのご提供となります。電気化学セルは別途ご用意下さい。
図6 ATR-S60ED 電気化学セル導入光学系
試料密閉型ATR
試料密閉型1回反射ATRは、試料への空気の接触を遮断するシールドキャップを装備しています。 グローブボックスなどの不活性ガス環境下でサンプリングした嫌気性試料を密閉したままATR測定が可能です。
図7 試料密閉型1回反射ATR
関連製品
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フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR-6X/8X)
赤外顕微鏡(IRT-5000)
全自動赤外顕微鏡/マルチチャネル赤外顕微鏡(IRT-7100/7200)
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