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日本分光付属品紹介 長光路ガスセル

概要

一般的にガス分析には FTIR や非分散赤外分析装置、ガス検知管、GC-MS などが使用されます。FTIR は複数のガス成分を前処理なく短時間で測定できます。

数 ppm 以下の不純物ガス測定など、低濃度ガスの分析を行う場合には、長光路ガスセルが適しています。日本分光の長光路ガスセルは、光路長 12 m で光学系を最適化することにより高いスループットを実現し、ppm オーダーの低濃度ガスを TGS 検出器で定量することができます。

FTIR+長光路ガスセル
図1 FTIR+長光路ガスセル
複数のガス成分を同時定量
図2 各種ガススペクトル(100 ppm)
長光路ガスセルの種類

ガスセルのボディにはガラス製とステンレス製があり、用途によって選択いただけます。また、全真空型FTIR専用の長光路ガスセルも用意しています。

長光路ガスセルラインナップ
図3 左:LPC-12M-S、右:LPC-12M-FV
LPC-12M-S
  • セルボディーに耐腐食性の高いステンレス(SUS)を使用
  • +0.1 MPa の加圧測定が可能
  • 70℃までの加熱測定や 200 °C でのセルボディーのエージングも可能(オプション)
LPC-12M-FV
  • 全真空 FTIR にのみ搭載可能な専用ガスセル
  • ステンレスタイプのガスセルの特長に加えて、FTIR 本体も含めたすべての光路を真空にすることができるため、大気中に存在する水、炭酸ガスなどの大気の影響を受けずに感度良く測定可能
COガスの高感度測定

ステンレスタイプの長光路ガスセルを用いて、CO ガスを大気圧および+0.1 MPa に加圧して測定しました(図4)。加圧したスペクトルのピーク強度は圧力に比例して約2倍大きくなります。これにより ppm 以下の低濃度ガスをより高感度に測定できます。

COガスのスペクトル
図4 CO ガスのスペクトル
全真空ガス測定システム

水蒸気の標準ガス(15 ppm)を繰り返し測定することで大気中の水蒸気の影響を確認しました(図5)。測定手順は、水蒸気の標準ガスをガスセルへ導入後、測定、排気を繰り返し行いました。1653 cm−1 のピーク強度を見積もると 0.0316(Abs)±0.63 % と精度の良い結果が得られ、大気中の水蒸気の影響をほとんど受けていないことがわかります。

COガスのスペクトル
図5 水蒸気のスペクトル