京都大学化学研究所 長谷川健先生が開発された MAIRS 法 (Multiple-Angle Incidence Resolution Spectrometry;多角入射分解分光法)は、有機薄膜半導体や生体膜、LB膜(Langmuir- Blodgett膜:単分子累積膜)、ポリイミド薄膜など有機薄膜の分子集合構造を分子配向解析を通じて可視化する分光解析手法です。
MAIRS 法とは、試料に偏光した赤外光を照射し、試料への入射角度や偏光角度を変えながら測定する分析手法のことです。図のような面内方向(基板に平行な方向)と面外方向(基板と垂直な方向)の振動スペクトルを取得することができ、そのスペクトル情報から薄膜の分子配向を解析します。
MAIRS ユニット AM-4500X は、入射角度を変える pMAIRS 測定と偏光角度を変える MAIRS2 測定(別途、自動回転赤外偏光子が必要)の二つの MAIRS 測定に対応しています。また、測定だけでなく配向角計算まで自動で行うことができます。
以下のように、MAIRS 法にしかない利点があります。
Si基板の片面に製膜されたペンタセンキノン薄膜を MAIRS2法により偏光子の角度を変えながら測定し、得られたスペクトルから面内および面外スペクトルを算出しました。
このように、通常の透過法では得られない面外方向の情報を取得でき、面内方向との差異が確認できます。得られた面内スペクトルと面外スペクトルの情報からペンタキセノン薄膜の分子配向を調べた結果も図に示します。