日本分光では赤外偏光子を内蔵している ATR PRO610X をラインナップしています。
この付属品を使用することにより、液晶や高分子などの分野において需要の多い、分子配向の解析を行うことができます。
例として延伸フィルムの延伸方向、垂直方向、深さ方向の分子配向を解析する方法を紹介いたします。
フィルムの延伸方向を光の進行方向に合わせて設置し、試料に対する垂直偏光(s偏光)を照射すると、y方向つまり、試料の垂直方向に関する配向情報が分かります。
試料に平行偏光(p偏光)を照射すると、延伸方向(x方向)と深さ方向(z方向)の配向情報を得ることができます。
更に試料を 90° 回転させ、同様にs偏光、p偏光を照射することで得られたデータと組み合わせて解析することにより、延伸方向、垂直方向、深さ方向に関する全ての分子配向情報が分かります。
ATR PRO610X は、偏光子側と検光子側の両方に赤外偏光子取り付け機構を有しています。
付属の偏光子を右図のように着脱することができます。
※偏光子を取り外すと通常の ATR として使用することができます。
偏光子の角度は角度ダイヤルで設定できます。
目盛り値 0° → プリズム面に対して平行な直線偏光が透過します。
目盛り値 90° → プリズム面に対して垂直な直線偏光が透過します。
標準的なねじれネマティック液晶(TN液晶)分子にp偏光、s偏光を照射したときの差異を測定しました。
液晶分子鎖末端のニトリル基に帰属されるピークに着目すると、p偏光に比べ、s偏光のほうが吸光度が大きいことが分かります。
得られたデータをもとにさらに解析を進めることにより、ニトリル基がプリズムに対して、ほぼ平行に配置していることが分かり、これは一般的なTN液晶の知見と一致します。
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