HPLC用カラム

溶媒について

カラムの溶媒置換

カラムの溶媒を置換する場合は、カラムに付属する取扱説明書を必ず確認し、記載されている使用可能溶媒を送液してください。また、溶媒の置換は必ず混ざり合う溶媒間で置換してください。特に塩を含む溶媒から有機溶媒(100%)への置換では塩の析出に注意してください。

以下の図に溶媒の相溶性を示します。システムの溶媒置換等の参考にしてください。

溶媒の相溶性
図1 溶媒の相溶性

使用移動相に関する注意点

移動相を送液する上で、以下に示すような注意点があります。
測定するサンプルおよび移動相の特性をよく把握した上で、分析および洗浄を行ってください。

  • シリカゲル基材のカラムの場合、塩基性の移動相は送液しないでください。
    →シリカゲルが溶解し、性能が低下します。
    CrestPakの場合pH 2.0~7.0が使用可能範囲です。
    塩基性の移動相を使用する場合は、ハイブリットシリカゲルが基材のUnifinepak(使用可能pH範囲 1.0~12.0)をご使用ください。

  • イオンペア試薬等を使用する場合は、専用のカラムを使用することを推奨します。
    →イオンペア試薬は充塡剤の表面の修飾基と強く結びついて、洗浄しても完全に取り除けない場合があります。
    →アミンや酸など微量の添加で効果がある試薬の場合、完全に洗い流すことができず影響が残る場合があります。

  • UHPLC用カラムは微粒子の充塡剤が使用されているため、カラムのフィルターはメッシュの細かいものが使用されています。移動相に緩衝液等の塩を用いる際は、不溶成分による目詰まりを防止するため、メンブランフィルターでのろ過が必要な場合があります。

カラムの洗浄

溶離液及び試料に含まれる不純物がカラムに蓄積され、カラムの分離能力を低下させることがあります。このような場合にはカラムの洗浄を行うと改善する場合があります。

カラムの取扱説明書の洗浄方法および送液可能な溶媒を確認するとともに、測定しているサンプルおよび移動相の特性をよく把握した上で、洗浄を行ってください。

  1. カラムフィルタに不溶物が詰まり、圧力が上昇してしまった場合

    カラムを逆方向に接続し、低流量(分析時の半分程度の流量)で送液し、洗い流します。
    このときシステムの汚染を防ぐために、カラムより下流の流路は外してください。
    また、洗浄後の測定ではサンプルをメンブランフィルターでろ過する等の前処理を行ってください。

  2. 充塡剤吸着物による分離の低下の場合

    使用している移動相に塩が含まれている場合は、塩を含まない移動相(水/有機溶媒=50/50程度)を送液し、塩を取り除きます。(ポリマータイプの充塡剤の場合は、膨潤、収縮が発生する場合があるので、有機溶媒量に注意してください。)
    その後、吸着した試料が溶出しやすい移動相を送液し、吸着物を洗い流します。
    ODSカラムで疎水性物質が吸着しているの場合は有機溶媒(アセトニトリル、メタノール、THF等)で洗浄します。
    塩基性の成分がカラム内に残存している(イオンペア試薬として塩基性の化合物を用いた場合も)場合は、洗浄する溶媒には0.1%程度の酸(リン酸または酢酸)を加えた酸性水溶液を用いると効果的なことがあります。

洗浄は一般的にカラム容量の5~10倍程度の送液量が必要です。しかし、カラムに吸着される物質の特定は難しく、上記の洗浄方法では効果が無い場合もあります。特にたんぱく質等の吸着は洗浄で取り除くことは難しくなります。